実写版『あしたのジョー』の映画は面白かった

漫画『あしたのジョー』との出会いは小学校3年生の夏休み。
父親が友人から借りてきた『あしたのジョー』全巻をドンと家に持ってきた。
そのころ俺が好きだった漫画は『ドラえもん』のような、いかにも子供が好きそうな漫画ばかりだったので、『あしたのジョー』の表紙の劇画調のタッチにまず引いてしまった。パラパラとめくってみたけど、当然読む気もしなかった。

しかし、子供のころの夏休みというのはとても楽しい時間でもあり、とてつもなく暇な時間でもある。あまりに暇だったので、つい『あしたのジョー』の第1巻を読んでみたのだが、いつの間にか面白さに夢中になってしまった。
むさぼるように最終巻まで読み切って、もう続きがないというのが寂しいなあと思った記憶がある。
その後も何度も読み直していて、今でも漫画の中では一番好きな作品だ。

『あしたのジョー』の実写版の映画が作られるということを昨年の前半にインターネットのニュースで知ったのだが、そんなの無理だし、絶対につまらない映画になるだろうと思った。しかも矢吹丈役はジャニーズ事務所のアイドル。こりゃ駄目だと思い、実写版映画のこと自体すっかり頭から消えてしまっていた。

そして俺が忘れている間に、映画は完成し、公開され、DVD化されていた。
先日、Amazonのページを見ていたら、実写版『あしたのジョー』のDVDが目に入った。カスタマレビューを読んでみると、意外なことに高評価のコメントが多い。

ということで、今日は借りてきた実写版『あしたのジョー』のDVDを見てみた。

見てビックリ、なかなか良かった。
ストーリーは、力石が死んだあと旅立っていたジョーが戻ってくるところまでだが、脚本もうまくまとまっていたと思う。

配役も良かった。
矢吹丈役の山下智久や力石徹役の伊勢谷友介は、もちろん漫画とは見た目が全然違うのでどうかと思っていたのだけど、意外と違和感なく見ることができた。
丹下段平も思わず笑ってしまった。漫画より痩せてる感じだけど、いい感じ。段平を香川照之が演じていたとは全然気づかなかった。
マンモス西の俳優も良かったし、白木幹之介の津川雅彦というのも非常にしっくりきた。
白木葉子役の香里奈は、ちょっとどうかな?というのもあったのだが、漫画の設定を少し変えて葉子は実はドヤ街の出身だったということにしていたので、まあそれならありかなという感じかな。

丹下拳闘クラブのセットもよくできていて、漫画のイメージそのままといった感じだ。

試合のシーンなんかも結構工夫されていたと思う。
実際のボクシングではありえないような動きも漫画の世界だとそれほど違和感なく見ることができる。
しかし実写となると、漫画のような動きは見ていてシラケそう。そこら辺の動きをどう表現するんだろうと思っていたら、超スローのカットを使って漫画の雰囲気をいい感じで表現できていたと思う。
クロスカウンターのカットも非常にきれいだった。

アメリカンコミックの実写化は、『スーパーマン』、『バットマン』、『スパイダーマン』などの映画化で成功していると思うが、日本の漫画の実写化はいまいちのものばかりという印象があった。が、『あしたのジョー』の実写化は成功したと言えると思う。

しかし、個人的には実写版の『あしたのジョー』は時間の短い映画ではなくて、テレビの連続ドラマでやって欲しかったと思う。
子供たちとの微笑ましいやり取りや、少年院での出来事なんかにも、もっと時間を割いて欲しかった。
映画の出来が良かった分、あまりにも急ぎ足のストーリー展開が非常に残念だったと思う。